2014年 西澤理事長?学長の年頭あいさつ
初春を迎え、新年明けましておめでとうございます。2014年の新年にあたり、ご挨拶申し上げます。
本年は、例年になく暖かで晴天となり穏やかな日和が続いたお正月でありました。皆様におかれましては、ご家族ともども健やかなお正月をお迎になられましたこととお慶び申し上げます。
今年は午年(うまどし)です。十二支でのちょうど真ん中、時刻でいう正午にあたります。頂点を意味し、変動?変革のありうることから改革の年とも解することができるといわれています。我が国の在り様でもありますし、本学の現在を言われているようでもあります。
さて、2014年は、第二期中期目標?中期計画の3年目に入ります。中期目標6年間でのちょうど企画?準備期間が終わり、いよいよ展開?実行の期間ということになります。
この第二期中期目標期間の重点戦略を
? 「都市科学分野の教育研究の展開とシンクタンク機能の充実」
? 「専門性の高い社会人の育成」
? 「国際力の強化」
の3つとしたことは、すでに何度も述べておりますが、1番目の「都市科学の展開」ということでは、昨年の6月に人工光合成研究センターを開所、7月にはグランフロント大阪に「健康イノベーションセンター」を開所させていただきました。また、今年の4月にはあべのハルカスの21階に予防医学?検診センターを設けることになっております。この部門は、「沙巴体育平台医学部附属病院先端予防医療部附属クリニック MedCity(メッドシティ)21」と命名しまして、5大疾病?生活習慣病の早期発見?早期治療や、先制医療の研究開発を支える人材育成、医学教育に活用することになっております。また、都市防災研究では全研究科の総力を挙げ、新たな都市防災の在り方を多角的な視点から研究し、住之江区、住吉区、西成区の各々の区役所と連携協定を締結してのフィールドワークへと発展してきており、すでに2冊の著作を発表していただいております。これらの研究をもとに、教育活動やシンクタンク機能の充実へとさらに成果を上げることが期待されます。
「専門性の高い社会人の育成」については、各学部、大学院における専門人の育成は無論のこと、「博士課程教育リーディングプログラム」、「頭脳循環を加速化する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」や「テニュアトラック若手人材育成事業」、「女性研究者研究活動支援事業」などの若手人材育成事業に着手することができました。
「国際力の強化」については、国際化戦略本部において2011年度からの3年間の第1期アクションプランのもと、海外の大学との連携の強化、研究者交流、留学生の増、グローバルコミュニケーションコースの設置等に取り組み、現在は、2014年度からの第2期のアクションプラン作成中であります。
このように第二期中期目標の重点戦略は順調に進展してきているのではないかと考えておりますが、これも皆様の理解と協力をいただいてきた賜物かと感謝いたしております。
2012年6月に外部有識者による「新大学構想会議」が設置されましたが、これは、今後の大阪の成長に貢献する公立大学のあり方を外部有識者の意見を踏まえて将来ビジョンを策定するためにつくられたものですが、その構想会議において大学のビジョンの検討が進められ、昨年の1月18日に「新大学構想<提言>」が府市統合本部に示されましたことは、皆様もよくご存じのことと思います。
そして、これを受けて、大阪府市から「新大学ビジョン」(案)が策定され、パブリックコメントを経て9月19日に「新大学ビジョン」が提示されました。これを受けて大阪府立大学とともに、新大学の教育?研究分野についての検討組織として、各分野ごとのワーキング会議をベースに新大学推進会議を設け、かなり中身の濃い検討を経て、10月9日に両大学と府市の4者による「新大学案(10月版)」を策定いたしました。
この案は<新世代の大学-大阪モデル>と副題が付けられました。その真意は「両大学がこれまでに培ってきた歴史、伝統を踏まえ、現在の両大学のブランド力を維持?充実させつつ円滑に新大学に継承?発展させうる新たな大学の在り方を世に問うことであり、国内外の大学間競争において激しさが増すと想定される中、統合により、機能と資源をフルに活用し、より高度な教育?研究体制を実現することで、大阪から、公立大学の新しい形を提起する」ことを意味しています。世界に対してさらに競争力を持つ新大学として未来に向けて責任を果たさなければならないと考えています。
昨年の10月9日には、この「新大学案」とともに府市から「新法人基本方針」が示され、新大学構想会議から「ガバナンス改革について」が示されました。内容はすでにご存じだと思いますが、「新法人基本方針」に対して、本学から意見を述べております。
「法人経営の基本姿勢の明確化、財務運営方針における戦略的経営、公立大学の法的制約の撤廃への取り組み、安定的な財政基盤の構築、法人統合?大学統合の必要経費の考え方の整理」など具体的な問いかけを市にしております。
本学の中期目標の変更案と理事長?学長の分離の定款変更案が11月の市議会で否決されました。これは、現在の新大学案では、キャンパスの整備、学部?学域の併設など課題が多くもっと現実的なスケジュールにすべきであるといった理由でありましたが、重要な点は、大学統合そのものが否定されたものではないということです。本学としては、国内外の大学間競争が厳しくなる中で、新大学の実現は今後の大学の発展に期待できるものであり、今後とも、その実現をめざし、府立大学とも議論を深めていきたいと考えています。
この様な本学の状況をご理解いただくために、平成25年12月25日に名誉教授の皆様への説明会、午後からは元学長をはじめ各同窓会や教育後援会の関係者の皆様への説明会を開催させていただきました。多くのご参加をいただき、大変に熱心に質疑をいただきました。また、現在、学生へはポータルサイトで、保護者には郵送で資料を送り質疑をできるようにしたところです。
さらに、本学の大きな課題として、統合とは別にガバナンス改革があります。グローバル化の進展の中で、社会の変化に大学の仕組みが追い付いていないという世論からの指摘があり、この間、国においては国立大学改革プランが出され、中教審や府市の新大学構想会議からもガバナンス改革が提言されています。
本学では、昨年度から大学改革室を設置し継続的に改革を進めてきており、ガバナンスを中心とした大学改革プランの策定を急いでいるところであります。ガバナンス改革を単に形式的なものにすることなく、学生の教育研究環境の整備をはじめ、様々な教育?研究活動を向上させる改革?改善をこの間、進めていかなければならないと考えております。
本学は今、大きな岐路に立っています。新大学実現へ向けた検討や、改革を教職員の皆様と一体となって精力的に推進し、未来に亘って輝き続ける大学をめざしていきたいと願っております。
2012年の6月に東口に連絡通学路としての「南部ストリート」が開設され、これに隣接する南北道路は2013年の4月に開通し、「さくら通り」と命名しました。 新理系学舎の整備も、着々と進んでおり2015年3月には完成できると聞いております。また、この新理系学舎の前の欅(けやき)通りの整備も予定どおりに進み1月末には完成の予定です。これで南部ストリートから欅通りへと美しいアクセスとなり、さらに、今年4月には、学術情報総合センターの屋上に緑豊かな屋上庭園がオープンできるようです。学生のみなさんに喜んでもらえるのではないかと、今から楽しみにしております。
この4年間を振り返りまた今後の大学への思いを、本日述べさせていただきましたが、この3月に私の第1期の任期が終わります。この4年間の皆様のご理解とご支援をいただき現時点に到達したというのが実感です。本当に多くの皆様にご支援をいただいたと感謝いたしております。
現在、次期の学長選考がなされておりますが、今年は大阪府立大学との法人統合のさらなる具体化についての詳細な討議が必要になります。さらに切磋琢磨しつつも、本学の歴史と伝統、実績をもとにさらに本学を飛躍させていく姿をめざす新たな年としなければならないと思っております。
皆様と真摯にご相談し、議論を重ねながら、この新しい年を迎え、実りのある新年にしたいと念願しているところです。
本年も皆様のご健勝とさらなるご活躍を祈念し、新春の私の願いを込めて新年のご挨拶とさせていただきました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
平成26年1月6日
理事長?学長 西澤良記